美しく、繊細な織りの”ジャカード織”に迫る!~detail of jacquard~

2022/2/2 2022/9/15

みなさん”ジャカード”ってご存じですか?

”ジャガード”のほうが聞き馴染みがあるかもしれませんが、少し耳にしたことあるな、というくらいですよね。

私も、ジャカードについて詳しく関わるまではアパレルとかで聞いたことあるな~くらいの知識で、詳しくは知りませんでした。
ですが、調べれば調べるほど奥が深くて、

生地ってこんな風に作られているのね!
いままで知らないうちにジャカードに触れていたんだ!

と驚き、とても興味がわいたんです。

そんな奥の深いジャカードを、私も振り返りながら、みなさんにお伝えしていきたいと思います。

「ジャカード」って何?


織物資料館~紫~

そもそも”ジャカード”なの?”ジャガード”なの?

ジャカードとは、簡潔にいうと「ジャカード織機(しょっき)で織られた織物生地」のことをいいます。

このジャカード機を発明したのが、フランスのジョゼフ・マリー・ジャカール(Joseph Marie Jacquard)という発明家。
その名前からJacquard=ジャカードと呼ばれるようになりました。

ジャカールさんの名前が由来となると、「ジャカード」が正しそうですね。

ただ日本では「ジャガード」のほうが浸透しています。

これは諸説ありますが、日本語の特徴として「ジャガード」のほうが発音・聞き取りがしやすく、世間に浸透していったようです。
このことから現在では、語源は知っているけれど、あえて発音しやすい「ジャガード」で通しているという業界の人も多い、というのが通説になっています。

ただ、この裏事情を知ると「ジャカード」のほうが通っぽくてかっこよくないですか?笑
なので、ここからは私は「ジャカード」で話を進めていきますね!

ジャカードの特徴

ジャカード織の一番の特徴は、織で柄を表現しているということ。

ジャカードの織柄はプリント柄とは異なり、生地そのものに表現されていることで表面に凹凸ができます。
その凹凸が絶妙な陰影を生み出し、触れても感じることができる、美しい生地となるのです。

ただし、生地ができるまでに様々な工程があるため、柄の表現にはかなり制限があり、できることも限られてしまいます。
さらにその複雑な工程ゆえ、生産時間もかかり、コストは割高に・・・。

だからこそ、ジャカード生地は通常の生地と比べて貴重で、高価な物なのです。

そんな貴重なジャカードを生み出す工程をもう少し詳しく見ていきたいと思います。

ジャカード織ができるまで

さて、織で柄を表現する、って言葉でいうと簡単ですが、実際はどんな仕組みになっているのでしょうか?

どうやって柄を織り込んでいるのか、織機で織ることは分かったけど、デザインはどう組み込んでいるのか、気になりますよね。

生地の設計図「紋紙」

生地のデザインをするのは、紋紙(もんがみ)と呼ばれるパンチカード。
いわば、生地の設計図。その「紋紙」で機械に命令を出し、実行させています。

この紋紙のひとつひとつの穴に、経糸(たていと)または緯糸(よこいと)が表に出るように情報が与えられていて、複雑な柄模様が織りあげられているのです。

なので、一般的な柄デザインとは違い、紋紙を見ただけではどんな柄になるのか、まったくわからない状態というわけなのです。
この無数に開いた穴から、柄ができるなんて・・・

実際に設計するとなると考えるだけで頭がパンクしそうですが、見ている側としてはどんな柄になるのか、なんだかわくわくしませんか?

紋紙のデザイン

紋紙作成に欠かせないのが、設計士や紋意匠と呼ばれるデザイナー。
紋紙のデザインを起こし、イメージを形にする仕事です。図案作成から紋紙ができるまでの工程は次の通り。

*******************************
①図案起こし
②経糸と緯糸の設計
③織物データの作成
④紋紙作成
⑤試し織・修正
⑥本番
*******************************

①の図案起こしは、お客さんの写真やイメージ画像などを基に図案作成する場合と、デザイナーさん自身がデザインして提案する2パターンがあります。
イメージを形にするには、経験と知識、感覚がとても重要。住宅の設計や機械の設計と同じように、精密で手間のかかる作業です。

そして、②の経糸と緯糸の設計で糸選定がされる。これが、商品の最終仕上がりに大きく影響を与える作業のひとつとなります。
糸の本数、密度の設定、幅などの基本的なところを決めていきます。

③の織物データの作成で、糸の飛ばし方、柄の大きさのデザインが作成され、糸抜けやほつれを確認していきます。
デザインばかり重視してしまうと、耐久性の弱い生地になる可能性があるので、大切な過程となります。

①から③が終了してようやく、④の紋紙作成になります。試し織をして問題がなければ、織りに仕掛かることができるわけです。

非常に長く、大変な工程ですね・・。

現代では、この膨大な紋紙を用意する手間やコストを削減するため、紋紙部分を電子化する、電子ジャカードが普及しています。

現代の発展もすごいですが、デザインによって異なる大量の紋紙を用意して、ひとつひとつ織機で織っていく・・・。
気が遠くなるような作業量で、昔の人たちの苦労と、技術を感じます。

最後に

ここまで、ジャカード織についてだいぶ深堀りしながらお話してきましたが、いかがでしたか?

普段なにげなく着ている服やファブリックにも、ジャカード生地はたくさん使われています。
こんなにたくさんの工程を歩んで私たちの手に届く・・・。

ジャカードの美しさはそこから生まれているんだな、と私自身改めて魅力を感じ、そんな生地を扱っていることに誇りも感じます。

ただ、ここで終わりではありません。
ジャカードをはじめ、織物の魅力は実はまだまだあるんです。
例えば、日本には世界に誇るたくさんの織物産地があり、その地域ならではの技術で織られた生地があります。

愛知の尾州や福井、富士吉田などその地域特有の気候や歴史によって、それぞれ特徴のある生地ができています。
国産と呼ばれる、より貴重なジャカード織についても、またお話できたらなと思っています!

そんな、奥が深いジャカード生地のカーテンを当店ではたくさん扱っています。
パーフェクトスペースカーテン館~ジャカード~

この記事をSNSでシェア!
関連記事